猫を守るために知っておきたい病気と保険
~症状・予防・治療費まで詳しく解説~
2025.07.15
① 猫は病気を隠す?
猫は本能的に弱っている姿を見せない習性を持っています。具合が悪くてもじっと我慢することで、外敵に狙われないようにするための野生の本能といえます。
そのため、飼い主さまが気づいた時にはすでに病気が進行していたということも少なくありません。最近少し元気がない、ごはんの食べ方が以前と異なる、といった小さな違和感こそ、実は大切なサインかもしれません。
愛猫の健康を守るためには毎日、様子をしっかりと観察し、ちょっとした変化に気づいて対処してあげることが何よりも大切です。

② 猫がかかりやすい代表的な病気
猫がかかりやすい病気のうち、ここでは代表的な病気とワクチンで予防できる病気をご紹介します。
ワクチンで予防できる病気
以下の病気は、予防接種を受けることで感染リスクを減らすことができます。
- ・ 猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)
- ・ 猫カリシウイルス感染症(FCV)
- ・ 猫汎白血球減少症(FPLV)
- ・ 猫クラミジア感染症
- ・ 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
- ・ 猫エイズ(FIV)
これらの病気は感染力も非常に強く、特に子猫や高齢の猫、持病を抱えている猫など、免疫力が低下している猫がかかりやすいため注意が必要です。
ワクチン接種は有効な予防手段ですが、抗体価が低下すればワクチンを接種していても感染する可能性もあるため、体調に変化が見られた際は早めの受診が大切です。
代表的な猫の病気
猫をお迎えした飼い主さまが知っておきたい病気についてご紹介します。
腎臓病
慢性腎臓病は、腎臓が徐々に機能を失っていき、体の老廃物や毒素を十分に排出できなくなる病気です。一度壊れた腎臓の細胞は回復せず、進行性で完治はしない病気です。特に高齢の猫(7歳以上)になると、3匹に1匹が慢性腎臓病になるともいわれており、猫の死因の上位となっています。
【治療と費用】
猫の慢性腎臓病は高齢になるほど発症率が高く、生涯にわたる治療が必要です。治療方法は療法食や皮下補液、薬による進行の抑制が中心で、定期的な血液検査や尿検査も行います。月々の医療費は2〜5万円が目安です。
リンパ腫
猫の悪性腫瘍(がん)で最も多いとされるリンパ腫は白血球のひとつであるリンパ球が、がん化する血液のがんのことです。元気消失、体重減少、下痢、嘔吐、しこり、呼吸困難などの症状があり、原因のひとつに猫白血病ウイルス(FeLV)感染があるといわれています。
【治療と費用】
治療は主に抗がん剤で、初期は週1回の通院が必要です。寛解を目指して数ヶ月にわたる治療を行い、費用は月5〜10万円程度が一般的です。
扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)
皮膚や口腔内にできやすいがんで、特に高齢猫の「口の中」にできると予後が悪いとされています。よだれ、口臭、食欲低下、嘔吐や下痢が続く、口内出血、顔の腫れなどの症状があった場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
【治療と費用】
進行が早く痛みも強いため早期対応が求められます。外科手術や放射線治療が行われることもありますが、完治は難しく、緩和治療中心となる場合も。初期治療に数十万円かかることもあります。
どの病気も、日頃から愛猫の様子を気にかけ、異変に気づいた時点で早期に動物病院を受診し、治療してあげることが大切です。
また、病気が判明した場合でも、病気の進行を遅らせる治療をすることでQOL(生活の質)を維持し、穏やかに生活できるようサポートしていくことも重要です。
大切な愛猫の命を守るために、定期的なワクチン接種と日頃からの健康観察を習慣化していきましょう。
③ 特に注意したい病気FIPとは?
猫をお迎えしたら、特に注意しておきたいのがFIP(猫伝染性腹膜炎)という感染症です。FIPは猫の感染症の中でも命を脅かす非常に怖い病気のひとつです。2歳以下の若い猫に多く発症し、診断や治療が難しい病気として知られています。そして、治療を行わなかった場合の致死率はほぼ100%といわれています。
FIPの原因となるのは「猫腸コロナウイルス」というウイルスです。ウイルス自体は珍しいものではなく、多くの猫がこのウイルスにかかっても、重篤な症状を引き起こすことはありません。
しかし、ごく一部の猫は体内のウイルスが突然変異を起こし、致死的なFIPへと進行してしまうことがあります。この変異はまだ完全には解明されておらず、どの猫がFIPを発症するか予測することは難しいのが現状です。

FIPには、大きく分けて次の2つのタイプの病状があります。
ウェットタイプ(湿性型)
お腹や胸に水が溜まり、呼吸が苦しくなる、元気消失などの症状があり、急激に悪化しやすく進行が早い。
ドライタイプ(乾性型)
体に炎症が起きたり、神経や目、内臓に異常が出たり、けいれんや歩き方がおかしい、目の濁りなどが見られたりする。一見FIPとは気づかれにくく、診断まで時間がかかることもある。
【治療費について】
以前はFIP=不治の病とされていましたが、近年では海外で開発された抗ウイルス薬によって治療が可能になってきました。この薬はまだ日本で正式に承認されておらず、治療にかかる費用は30万円〜100万円以上になることも珍しくありません。完治までに3か月の投薬が必要なこともあり、金銭的にも飼い主さまには大きな負担となります。
さらに注意すべき点は、多くのペット保険会社では国内で未認可の薬は補償の対象外となります。FIPにかかった場合、診断されるまでの一部の費用にしか保険金を受け取ることができず、飼い主さまの自己負担額が高額になる恐れがあります。
【予防法】
残念ながらFIPには確実な予防法がありませんが、以下のような日々のケアと飼育環境の管理で発症リスクを下げることができます。
- ・ 他頭飼育の場合は特に清潔な環境を保つ
- ・ 排泄物からも感染するため、トイレはこまめに掃除する
- ・ 子猫や免疫力の弱い猫のストレスを減らす
- ・ 毎年、定期的な健康診断で体調の変化がないか確認する
④ FIPに備えるペット保険とは?
FIPのような重篤な病気は、早期発見と迅速な治療が命を左右します。そして、もしものときのために、飼い主さまは心と経済面の両方の備えをしておくことが非常に重要です。
SBIプリズム少額短期保険の「プリズムペット」は、多くのペット保険会社で支払の対象外となっているFIPについても、補償の対象としています。
万が一高額な治療費が必要になる病気にかかっても、充実した補償内容のペット保険に入っておけば、飼い主の経済的負担を大きく軽減でき、安心して治療に専念できます。
大切な家族と1日でも長く過ごすことができるよう、ペット保険という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。