本当に必要?ペットの健康診断

記事公開日2025.05.09

大切な家族の一員であるペット。毎日元気そうに見えても、隠れた体調の変化があるかもしれません。

犬や猫、さらにはうさぎやフェレットなどのエキゾチックアニマルも、年齢とともに病気のリスクは高まります。そして、症状が現れたときには病気が進行しているケースも多く、治療に時間がかかる場合は費用も大きくなりがちです。

そのようなリスクを未然に防ぐ手段として、「健康診断」を毎年の習慣にすることは重要です。本記事では、健康診断でわかること、予防医療との関係、そしてペット保険が果たす役割について、わかりやすくご紹介します。

①ペットの健康診断は必要?

ペットの健康診断とは、人間の健康診断と同様に体の異常の兆候を早期に発見することや、治療の方針や生活習慣の見直しにつなげるための検査です。人間と同じように、ペットも年齢や体質によってさまざまな病気にかかる可能性があります。

そして、動物は不調を隠す習性があり、飼い主さまが十分に気をつけていてもペットの異変に気がついた時には病状が進行していることもあります。健康診断を定期的な習慣にすることで大切なペットの「今の健康状態」を可視化することができ、飼い主さまの安心にもつながります。

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では健康診断は、どのくらいの頻度で、どのような項目を行えば良いのでしょうか。犬や猫の場合、若いうちは年1回、シニア期(7歳以上)は半年に1回が目安とされています。一般的な診断項目には以下が含まれます。

・身体検査(視診、触診、聴診など)
・血液検査(内臓機能、感染症、血液の病気など)
・尿、便検査(腎機能、消化管の異常など)
・レントゲン、エコー検査(内臓、骨格、腫瘍などの可視化)

これらの検査項目には基準となる数値があり、元気な時の数値も、今後病気にかかってしまった際の基準値となるため、医師の判断材料や治療の方針とすることがあります。つまり、元気な時であっても健康診断を受けることが必要なのです。

②健康診断で見つかる主な病気

健康診断を受けることで病気の早期発見に繋がりますが、実際、どのような病気がわかるのか、ここでは病気の一例をご紹介します。

【慢性腎不全・肝機能障害】
特に猫に多い腎不全は、初期には症状がほとんど出ません。血液中のBUN(血中尿素窒素)やクレアチニン値で異常を早期に察知できます。肝臓も同様に、数値の異常から脂肪肝や肝炎の兆候がわかります。

【糖尿病・甲状腺機能異常】
中高齢の犬猫に多く、肥満傾向の場合は要注意。血糖値やホルモンバランスを検査することで早期治療が可能になります。

【心臓病】
僧帽弁閉鎖不全症や猫の心筋症などは聴診、レントゲン、心エコー検査で発見できます。息切れや咳といった軽微な症状が前兆のこともあります。

【腫瘍・膀胱結石】
レントゲン、エコー検査では、お腹の中の腫瘍や結石を発見することもあります。外見からはわからない異常こそ、画像診断が威力を発揮します。

【歯周病・口腔疾患】
特に小型犬は歯石の沈着が早く、3歳を超えると約8割に歯周病の兆候が出ます。口臭や歯のぐらつきは放置すると抜歯や全身麻酔が必要になることもあります。

こうした病気は進行すると治療費も跳ね上がるため、早期発見は家計にとっても大きなメリットとなります。

③ワクチン接種やフィラリア予防は必要?

健康診断と併せて欠かせないのが、予防医療です。とくに、命にかかわる感染症を防ぐワクチン接種や、蚊を介して感染するフィラリア症への対策は必須です。

【混合ワクチン】 犬ではジステンパー、パルボウイルス、猫では猫ウイルス性鼻気管炎やカリシウイルス感染症などを予防するもので、年1回の接種が推奨されています。

【狂犬病予防接種】 犬の飼い主さまには法律で年1回の接種が義務付けられており、未接種には罰則も設けられています。

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【フィラリア予防】 フィラリア症は、蚊に刺されることで犬猫の心臓や肺に寄生虫が侵入する病気で、発見が遅れると命を落とす危険性もあります。毎月の投薬や年1回の注射によって予防が可能で、投薬前には感染の有無を調べる血液検査も必要です。健康診断のタイミングでこれらの予防処置をまとめて行うことで、通院の手間も減り、費用も合理化できます。

混合ワクチンやフィラリア症予防など、飼い主さまがしっかりとペットの予防医療をすることでそれらの病気は高い確率で防ぐことができます。大切なペットに万が一のことがないよう、必ず毎年実施しましょう。

④ペット保険で備えるという選択肢

健康診断を通じて病気が見つかれば、早期治療で完治する可能性が高まります。しかし一方で、「検査費用が高かった」「治療が長期にわたる」といった悩みを持つ飼い主さまも少なくありません。

たとえば心臓病の治療には毎月の投薬と定期検査が必要で、年間で数万円以上の費用がかかることもあります。また、腫瘍の手術や入院となると、10万円以上が一度にかかるケースも。そうしたとき、家計に大きな影響を与えるのが医療費です。

ここで有効なのが、ペット保険の存在です。ペットが健康なうちに保険に加入していれば、通院・入院・手術、治療に必要な検査費などの費用をカバーしてもらえるため、大切なペットが病気にかかった時「お金の心配をせずに必要な治療を受けさせてあげられる」という安心感があります。

さらに、保険会社によっては保険会社所定の病院であればペット健康診断や腸内フローラ測定を補助してくれるサービスもあります。ただし、保険に加入する前に健康診断でペットに持病があった場合はペット保険に加入ができない、または一部の病気が補償対象外になることもあるので注意が必要です。

ペットの健康を長く守るためには、定期的な健康診断とともに、いざというときに備えた経済的な安心も大切です。愛する家族の一員を守るためにもペット保険はペットが健康なうちに加入を検討しましょう。