エキゾチックアニマルに保険は必要?
2025.06.11
【目次】
①ペットとしての存在感を増すエキゾチックアニマル
ウサギやフェレット、ハリネズミなどの小動物、インコやオウムなどの鳥類、さらにはトカゲやカメといった爬虫類など、個性的な生き物たちが近年、家族の一員としてますます存在感を増しています。これらの動物は「エキゾチックアニマル」と呼ばれ、社交的で人に懐きやすい種も多く、飼育スペースをあまり必要としないことから都市部での暮らしにも適しています。
しかしその一方で、体調の変化がわかりづらかったり、診察してくれる動物病院が限られていたりと、健康管理には想像以上の配慮が必要です。また、病院で診察を受けた際は体の小さな動物や専門的な扱いが必要な動物の場合、医療費が高額になるケースも少なくありません。

では、こうしたエキゾチックアニマルにも保険は必要なのでしょうか?
動物の種類ごとのかかりやすい病気や寿命を踏まえ、ペット保険が自分のペットに必要なのかを検討してみましょう。
②動物別に見る医療リスクと保険の必要性
エキゾチックアニマルは動物の種類によって寿命やかかりやすい病気が異なります。
◇小動物(ウサギ、フェレット、ハリネズミ、チンチラ、カワウソ)
ウサギ
【かかりやすい病気と平均寿命】
胃腸うっ滞や骨折、不正咬合、メスは子宮疾患が多い。寿命は7〜8年。
【医療費の一例】
上記の病気の場合で医療費は5,000円〜15,000円ほど。メスのうさぎでは子宮疾患で入院と手術を伴う場合は15~20万円かかることもめずらしくありません。
【保険おすすめ度】★★★
他の小動物に比べ、比較的病院の数が多いことや幼少~シニア期にわたりどの年齢でも病気にかかるため、保険に加入することで最後まで安心してお世話ができる。

フェレット
【かかりやすい病気と平均寿命】
インスリノーマ(低血糖症)、副腎腫瘍、リンパ腫など。寿命は6〜10年。
【医療費の一例】
多くの病気の診断に血液検査やエコー検査を必要とする。費用は10,000円~25,000円ほど。また、手術を要する場合は10~20万円超と医療費の自己負担度は高めです。
【保険おすすめ度】★★★
診察可能な病院は他の小動物に比べて多い。継続した通院が必要となる病気になりやすく、保険に加入しておくとその恩恵を受けやすい。

ハリネズミ
【かかりやすい病気と平均寿命】
ダニやカビ(真菌)による皮膚疾患やがんなどの悪性腫瘍など。寿命は3〜5年。
【医療費の一例】
皮膚病の場合、複数の通院で費用は10,000円~15,000円ほど。また、がんなどの悪性腫瘍の場合は手術となれば5~10万円になるが、完治しないことも多く抗がん剤治療を継続した場合も1回の薬代が10,000円と高額。
【保険おすすめ度】★
自宅の近くに病院がない場合は保険に加入しても割に合わない可能性あり。かかりつけの病院がある場合は終生飼育のために保険に加入するか、医療費を積み立てておくことは必須。

チンチラ
【かかりやすい病気と平均寿命】
結膜炎や角膜炎、不正咬合、熱中症など。寿命は10〜15年。
【医療費の一例】
砂浴びなどで、目の外傷が起こると傷の状態確認のため、フルオレセイン染色検査などで診断。消化器トラブルの場合は糞便検査、熱中症など脱水症状がある場合は皮下補液を行う。
費用は5,000円~15,000円ほど。
【保険おすすめ度】★★
小動物の中では寿命も長いため、かかりつけの病院がある場合は保険の恩恵も受けやすい。

カワウソ
【かかりやすい病気と平均寿命】
尿路系や消化器疾患の病気にかかりやすい。寿命は約10年。
【医療費の一例】
腎臓病の場合、血液検査とレントゲン検査で診断。診察中におとなしくすることが難しい場合は麻酔が必要となります。費用は病院により犬や猫の料金を採用する場合や特別料金扱いとなることがある。
【保険おすすめ度】★
対応病院が極端に少なく、保険に加入しても割に合わない可能性あり。腎臓病の場合は通院の回数も多くなるため、医療費を積み立てておくか保険に加入しておくと安心。

◇鳥・爬虫類(オウム、フクロウ、カメ、イグアナ、フトアゴヒゲトカゲ)
オウム
【かかりやすい病気と平均寿命】
毛引き症(自咬症)、オウム病(鳥クラミジア症)、金属中毒など。寿命は20〜50年。
【医療費の一例】
感染症の疑いがある場合は糞便検査や遺伝子検査を行う。費用は5,000円~20,000円ほど。誤って金属やアクセサリーをかじってしまい金属中毒を起こすと、入院管理となり10万円を超えることも。
【保険おすすめ度】★★★
オウムは多くの種で非常に長寿であり、長期的な医療費への備えが重要。安心して終生飼育するためにも保険の加入は前向きに検討を。

フクロウ
【かかりやすい病気と平均寿命】
腎臓病や尿路結石症、バンブルフット(趾瘤症)など。寿命は10〜20年。
【医療費の一例】
腎臓病の場合は尿検査や血液検査、エコー検査を行う。医療費の目安は病院によって幅があり10,000円~30,000円。
【保険おすすめ度】★★
自宅の近くに病院がない場合は保険に加入しても割に合わない可能性あり。寿命が長いため、かかりつけの病院がある場合は保険の恩恵を受けやすい。

カメ
【かかりやすい病気と平均寿命】
代謝性骨疾患、水カビ病、甲羅の損傷。寿命は20年以上。
【医療費の一例】
代謝性骨疾患のくる病や水カビ病の場合、問診と触診で診断することが多く、費用は3,000円~5,000円。
【保険おすすめ度】★
比較的医療費が抑えられるカメは頻繁な通院がない場合、保険料が割高に感じることも。

イグアナ
【かかりやすい病気と平均寿命】
代謝性骨疾患、腫瘍、メスの場合は卵詰まりなど。寿命は10〜15年。
【医療費の一例】
骨の異常確認のためのレントゲン検査、注射でのカルシウムの投薬などで、診察費用の目安は病院によって幅があり10,000円~30,000円。悪性腫瘍や卵詰まりの手術となれば10~20万円になることも。
【保険おすすめ度】★★
診察の機会が少なくても1回の医療費が高額になりやすい。
しっかりと医療費を積み立てておく必要があるため、保険への加入は前向きに検討を。

フトアゴヒゲトカゲ
【かかりやすい病気と平均寿命】
食欲不振、代謝性骨疾患、骨折。寿命は6〜10年。
【医療費の一例】
代謝性骨疾患から骨折に繋がることもあり、レントゲン検査で異常がないかを診断。その他、食欲不振の場合は血液検査や注射などで10,000円~15,000円。
【保険おすすめ度】★★
診察可能な病院が少なく積極的な医療を望まない場合、保険は不要。かかりつけの病院がある場合は終生飼育のために、保険に加入するか医療費を積み立てておくことは必須。

◇小動物・鳥・爬虫類の保険加入時の注意点
ペット保険では体のケアとしてのトリミング、不正咬合による歯切り、くちばしカットや爪切りなどは多くの保険で支払対象外になっています。
また、フェレットの場合はフィラリア症やノミなど寄生虫予防、ジステンパーワクチン接種などの予防措置も多くの保険で適用外です。
そして、比較的めずらしい動物の場合は自分のペットが保険に加入できる動物か、あらかじめ確認しておくことが必要です。
③ エキゾチックアニマルと暮らすなら「予防」と「備え」をセットで
エキゾチックアニマルは犬や猫と違い、動きが緩やかな動物も多く、飼い主さまが注意していてもちょっとした体の異常には気が付きにくいものです。体調の変化が見えづらいエキゾチックアニマルたちの中には、診察できる病院が少なかったり、特定の病気にかかりやすかったりする種類もいます。
ペット保険は「医療への備え」という意味だけでなく、飼い主さまが「エキゾチックアニマルを安心して終生飼育し続けるための方法」として注目されています。
特に通院の頻度が高いウサギやフェレット、チンチラなどの小動物、長寿であるオウムやフクロウ、医療費が高額になりやすいイグアナも、条件が合えばペット保険は強い味方になります。他方で、通院の頻度が少ない動物は保険料とのバランスを見極めつつ、予防と貯蓄による備えが現実的です。
エキゾチックアニマルと暮らすには、十分な飼育の知識とともに、万が一の医療の備えをすることが重要です。大切な家族であるペットと豊かな生活を送ることができるよう、ペット保険を検討してみましょう。